年金破綻の危機、出生率の低下の今こそ家族の価値を見出そう[HRPニュースファイル1026]

http://hrp-newsfile.jp/2014/1500/

文/HS政経塾 スタッフ 赤塚一範

厚生労働省は5年に一度行われている公的年金財政検証の結果を公表しました。現在のままでは年金制度の維持が難しいことが明らかになりました。

また、平成25年の合計特殊出生率は1.43と、昨年より微増はしているものの、依然として低い値であり、出生数は過去最低の102万9800人となりました。

◆年金は社会主義的な制度である

巷では、「若者が減少したら年金がもらえなくなるので困る」という声があちこちから聞こえてきます。

しかし、年金問題で押さえておかなくてはならないことは、日本で当然とされている賦課方式の年金制度は、実は極めて社会主義的な制度であるということです。

自由主義国では、自由が与えられるかわりに自己責任の原則が貫かれます。一方、社会主義国ではこの原則は貫かれておらず、人びとは自由を手放すことによって国によって面倒を見てもらうことができます。このように自由と責任は切っても切り離せないものです。

積立方式の年金は自分で積み立てたお金を自分で取り崩して使うので、自己責任の原則が貫かれています。しかし、賦課方式は、納めたお金はそのまま国家が使い道を決め、お年寄りに給付してしまうことから、保険料は一種の税金と言えます。

つまり、年金とは自己責任ではなく、税金によって国家がお年寄りを養うための社会主義政策なのです。

◆年金は出生率を下げる

また、年金制度は出生率とも関係があると言われています。実は、年金制度は当たり前のことではありません。世界では長い間、お年寄りは家族で面倒を見るものでした。

公的年金制度がない時代には、優秀な子供を生み育てるということは、将来、自分の面倒を見てくれる人を育てるという意味で、「保険」にも似た意味合いがあったのです。公的年金ができると、人々は将来、年金で生活できるので、子供を育てるというインセンティブが減ってしまいます。

様々な研究者も、数理的なモデル分析によって、「公的年金制度が出生率を引き下げる」という結論を導き出しています。

配偶者控除廃止の問題点

また、現在「配偶者控除の廃止」が政府内で検討され、今年度末までに一定の方針が示さる予定になっています。現在、年収が103万円以下の主婦は、夫の年収に対して38万円の非課税枠が与えられています。今後、これがなくなる可能性が出てきました。これは専業主婦を狙い撃ちした増税です。

この議論の背景には、「主婦などの家事労働よりも会社での労働のほうに価値がある」という価値観が根底にあると思われます。確かに、配偶者控除がなくなり主婦が会社で働けば、控除分増税でき、労働力として働いた分に課税することもできます。

しかし、専業主婦だからといって日々何もせずに過ごしているわけではありません。育児、掃除、洗濯、食事作り、夫のカウンセリング、地域のボランティア活動など、主婦の仕事は実に多岐に渡ります。

専業主婦というのは家庭を守っている大事な職業なのです。家庭に逃げ場所があるということが、夫や子供たちにどれだけの効用をもたらしているか計り知れません。これは共働きの家庭ではなかなか得られるものではありません。

◆今こそ家族の価値を見直そう

このように家庭の価値が忘れ去られているところに、年金問題出生率低下の問題が潜んでいるように思います。当然、女性にも様々な活躍の機会が開かれるべきでしょう。ただし、それは家庭の価値を否定するようなものであってはならないのではないでしょうか。

社会制度を考えるときの大切な考え方として、「自生的秩序」というものがあります。「自生的秩序」とは人間社会に自然に発生し、時代の変化と共に少しずつ変化し進化してきた秩序です。

人々はその制度が社会に及ぼしている役割に気づかないものですが、その秩序を守ることによって社会が安定し、繁栄するのです。

自生的秩序の例としては、家族制度や私有財産制、貨幣制度、自由競争市場など様々な環境、時代の変化に適応し生き残ってきたものばかりが上げられます。近代になり、国家が急速に大きな力を持ち始めたとき、国家による自生的秩序の破壊が世界各地で行われました。

その破壊の顕著なものが旧ソビエトによる社会主義です。ソビエトではあらゆる伝統は否定され家族は解体され、私有財産は没収され、混沌と貧しさが広まりました。

日本にもこのように社会主義へと繋がる政策がいくつもあるのです。今、一度、年金制度、配偶者控除の問題を含めて家族の価値、伝統の価値を改めて問い直してみる必要があるのではないでしょうか?

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